18
行くぜ、湘南!
●行くぜ、湘南!
それは、今年のお正月。
fika+編集長のすずきが湘南T-SITEで手に入れたフリーペーパー『海の近く』からはじまった。
気になるフリーペーパーやパンフレットなど、琴線にふれたものに出会うと、
すずきは編集部こんどう、ぺこきちの分も一緒にもらってきてくれ、自分の「好き」を具体的な形として示してくれる。
今回もらってきてくれたフリーペーパーも同じ。
なので、もらった時は、ほぉほぉ、と何気なく受け取っただけだった。
と、その日の夜。
中を読んだこんどうが、掲載されていた可愛いすぎるこけしに一瞬にして心を撃ち抜かれ、
撃ち抜かれたことをこんどう自身が自覚する頃には、
すでに作家の野口さんに「会いたい」メールを送っていた。
瞬発力が持ち味のfika+編集部の中で、実は、こんどうの瞬間的な情熱のほとばしりには誰も追いつけない。
「このフリーペーパー可愛かったよ」と言って手渡された日から間をおかず、
私たち3人は一台の車に乗りあって、可愛すぎるこけしを作る野口さんが住む湘南に向かうべく、
あっという間に話がまとまった。
そして、普通なら次の場面は湘南になりそうなものだが、なかなかそうならない。
なぜならそれは、fika+編集部だから。
●指先美人になるのだ! の巻
湘南に向かう日の朝。
こんどうとぺこきちは、ネイルの予約を入れていた。
もちろん出発の待ち合わせ時間には間に合う計算だった。
その日、街は成人式と駅伝とで道が想像以上に込んでいて、まずは先発のこんどうのスタートが出遅れた。
ぺこきちが終わる時間は、約束の時間には到底間に合わない。
そのことをすずきにメールすると、驚きもせず、
当日、出張ネイルをしてもらっているまめきゅうにあらわれて、一言。
「私もお願いしていい?」
おーい。
いつもネイルをお願いしているsoi-memeさんは、そんな私たちを前にしても、
動じることなく、ニコニコしている。
ま、いつもこんな感じなので、驚きようもないのかもしれない……。
そして、ネイルとはぜんっぜん関係ないまめきゅうのじゅんチャン(営業中)を巻き込んで
ネイルのオフをお願いしたり、大人の恋バナがあったり、おやつをだしていただいたり。
なんやかんや、出発予定時間はとっくの昔に過ぎてしまっていたものの、
すでにだいぶ楽しい感じになっていた。
そう、fika+にとって、計画は計画でしかない。
ようやく一台の車に乗り合い、東名高速道路のインターチェンジに向かおうと車を走らせるか走らせないかのうち、朝ごはんを食べ損ねたすずきから、小腹が減ったと申請。
「ローソンのからあげ、大分かぼす胡椒味がすっごく美味しいの!」
ということで、道沿いのローソンに飛び込んだものの、残念、売り切れ。
代わりに大きなコロッケをおごってくれた。
もしかしたら、いや、きっとこれがfika+のギャラなんじゃないか、
と考えたぺこきちは、後部座席で寝ころびながら、コロッケをしみじみ味わっていた。
高速は渋滞もなく、あっという間に湘南に到着。



●TOP BANANAなのだ!の巻
まず最初に、アウトドアブランドのショップ「TOP BANANA」さんを目指す。
カーナビに住所を入力したものの、よくわからないお肉屋さんが出てきたりして、早くも迷子状態に。
お店に電話をして詳細を確認し、なんとかお店に到着した。
心配したスタッフの裕太さんが、冷たい風が吹く中、お店の外に出て待っていてくれた。
ありがたい!
「平日はお店を開けていないので、今日はたまたま、いてよかったです」
のどかな笑顔を見せて、はにかんでいる。
「いてよかったです」は、こちらこそです。
看板の出し方をもうちょっと考えたい、と裕太さんが言うように、
外からだと、一瞬、お店なのか事務所なのかわかりにくいが、店内はいろんなグッズが並び、
こんどうは端から気になって、あれこれ見ている。
石鹸など、いくつか手にとって購入の意思を伝えるが、
「久しぶりに店に来たので、レジのやり方が…」
と、心配な発言。ドキドキ…
しばらくの間、レジと格闘している裕太さん。
ときどき、ピーッとか聞こえてきたものの、聞こえないふりをして、三人それぞれ店内を物色していた。
やがて、
「セキュリティが強めでしたが、なんとかできました!」
むしろ、セキュリティ、大事です。
近所の美味しいお店を尋ねると、「とんかつの大関」と、教えてくれる。
はい、メモりました!
見送ってくれる裕太さんに手を振りながら、いよいよ、まさに、とうとう、野口さんとの待ち合わせ場所、okebaへ!
だが、その前に、ふたたびローソンへ。ちょっと休憩。
ローソン、本日2度目。
すずきは、念願の「からあげ 大分かぼす胡椒味」をゲットした。
ちょっと前に割と大きなコロッケを食べていたものの、満面の笑顔で「大分かぼす胡椒味」をふるまってくれるすずきの勢いに、それぞれご相伴にあずかる。
……、うん、たしかに美味しい。さわやかな酸味が後をひく。
は~い、もう、そろそろ出発です!









●okebaで出会えました!の巻
茅ヶ崎にあるokebaへは、ナビでスムーズに到着できた。
大通りから離れた場所にも関わらず、次々に車が停まり、人が行き交っている。
駐車場から古い倉庫のような建物と、鉄のアーチが見えるが、大々的な看板があるわけではない。
「MOKICHIって書いてあるけど、ここかな?」
アーチの先に進むと、大きな木を囲むように建物があり、
中心の木の下にテーブルとベンチが幾つも並んでいる。
右手には蔵とひとつづきの建物。蔵の中二階に麹や酒粕、日本酒などを売るスペースがあり、
一段下がったところがカフェのようだ。
つきあたりは、暖簾のかかった和食屋さんのようなたたずまい。
その左手には見上げるほどの煙突が曇り向かって伸びている。
年月を刻んできた静かで落ち着いた雰囲気と、現代的な感度のセンスが絶妙なバランスで成立している。
「ステキ!」
どうやら、もともと酒蔵だった場所を、飲食や雑貨などを扱う場所としてリノベーションされたらしい。
野口さんとの待ち合わせ場所は、敷地内にあるokebaというギャラリーショップ。
店内は二階まで吹き抜けで、倉庫だった場所のような雰囲気だ。
古いガラスの引き戸をガラリとあけた店内は、
さまざまなスタイルの器や雑貨が並ぶ広い1階スペースと、2階には絵本、古道具のスペースになっていた。
興味深く見てまわっているところへ、野口さん登場!
作家活動をしながら、普段はここで働いているそうで、伺った日はお休みだったにも関わらず、
私たちのために、わざわざ来てくださったのだ。
くるくる巻き毛ともこもこボアのコートに鳥のマフラー。
可愛すぎるこけしを作る野口さん自身が可愛すぎる!
会った瞬間に、fika+編集部の3人とも大好きになってしまった野口さん。
「でもね、私、こけし作家っていうわけじゃないんです。伝統のこけしのこととか知らないので、歴史的なこととか聞かれても答えられない(笑)」
カワ(・∀・)イイ!!
こけしも作るけど、イラストも書くし、頼まれて文字を書くこともあるそうで、ご自分でも何が専門かって言えない、と笑っている。
「何年か前に木工をやっている知り合いから、こけしとか作ってみればって言われて挑戦してみたんですけど、木で作るのはすっごく難しくて。じゃあ紙粘土で作ってみよう、となったんです。今も一緒にやっている相棒の湯川がタイと日本を行き来している関係で、向こうの民族衣装とか可愛いものをいっぱい仕入れてきて、それを何かに使えないかなって話していて、紙粘土で作ったこけしに着せてみたら可愛くて」。
なるほど~。たしかに、どのこけしもかわいいお洋服を着ています。
「こけしの頭にのせている鏡餅とかは手作りなんですけど、実はタイって、ミニチュアの小物がけっこう充実しているみたいで、向こうで見つけたちっちゃい皿とかビールジョッキとか、ポンポンとか、そういうのをのせたりもしています。」
自由!
野口さんのやわらかで大らかな雰囲気がそのまま、こけし製作につながっているようです。
「この場所は明治5年から続く湘南で唯一の蔵元の熊澤酒造さんで、蔵や建物をリノベーションして、カフェやパン屋、和食、イタリアンなどのお店もあるんです。ここはokebaというギャラリーショップなんですけど、もともとお酒の桶とかの倉庫だったみたいです。湘南で活動するいろいろな作家、アーティストたちの作品が展示されているんですよ」
野口さんがこけしを作るきっかけの一言を放った作家さんの作品も並んでいたし、野口さんが描いたイラストが可愛いTシャツも販売されていた。
「茅ヶ崎のSEEP STOREさんというセレクトショップに、こけしを置かせていただいていたのがきっかけで恵比寿のファーマーズ・テーブルさんで展示会をさせていただけたり。皆さんに見ていただけるきっかけが増えて、嬉しいです」
そして、2月1日からは箱根 NARAYA ⅭAFEで展示販売も予定されている。
こちらは、丹羽健一郎さんのつくる器に野口さんが柄を描いたものや、もちろん、こけしもやってくるそうです。
これはもう、実物を見て見なくちゃです。ぜひ。
*箱根 百一商店 2月1日~2月26日 会場/NARAYA ⅭAFE(水曜定休)



●湘南T-SITEは広かったの巻
野口さんやokebaの皆さんに見送られて出発した時点で、外は夜。
シメは、湘南T-SITEなのだ。
以前から湘南T-SITEが大好きだったすずきが、お正月、fika+の製作用にとiPad Proを買いにきて、
気になった本に出会い、とにかく行こう!と、こんどう&ぺこきちを引っ張るようにして向かった。
「ここを曲がって、こっち駐車場ね、で、こっちが3つめの建物で……」
詳しいし、熱量がすごい。
湘南の気持ちいい海風を浴びながら、いざ、店内へ。
あ、好き。
うん、うん、わかる。
私も、ここ、好き。
入った瞬間、言葉にならないけど「好き」を共有できた気がしたぺこきちである。
まず、本がすごい。当たり前だけど、いっぱいある。
本屋さんだから、いっぱいあるのは当然かもしれないけど、面白そうな本がいっぱいある感じがする。野生の勘。
そして、見やすい。整然とされすぎていなくて、ちょうどいい感じ。
押しつけがましくないオシャレ感も居心地いい。
なにしろ、スタバとくっついているので、ふんわりコーヒーの香りに包まれているのも好き。
可愛くておしゃれな文具も嬉しい。
すずきは、さっそく好きなインクと出会ったようで、試し書きをしている。
「ねーねー、ぺこちゃんは試し書きの時になんて書くの?」
でた、唐突でオリジナルな剛速球の質問。
のけぞりつつ、ミミズみたいにクネクネって書くかな、と答えると、
「私は、490って書くの」
う、受け取るのが難しい答え。
深い意味があるなら、あまり触らないほうがいいのか。
いや、むしろ積極的に聞いたほうがいいのか、一瞬、戸惑う。
「理由はわかんないけど、いつも490って書くんだ」
わからないんかい。
つづいて、別館にあるミナ・ペルホネンのお店をうろつく。
すずきが最近、はじまりの森のイメージイラストとして描いているクマ(もしくは猫あるいは犬)に、
どことなく似ているぬいぐるみを発見。
館内は、本以外にも雑貨や洋服など、いろいろなお店が、つかず離れずの距離感で同居しているので、
本を探しながらスマホケースを物色したり、かわいいアクセサリーを見つけたり、ノートを買ったり。
自由に回遊できるので、一日中いても、物足りないくらいかもしれない。
最後に、すずきイチオシのデザインの本を編集部で購入。
日付がかわるちょっと前に、なんとか無事、帰宅した。
たくさんのステキな人たちと出会った濃い一日だった。
本当に、信じられないくらい皆さん親切で、ステキで、お会いできたことが嬉しくて、ありがたかった。
こんな言葉じゃ全然足りない。
そして、出会えたことが大きなギフトならば、これはもう、つぎのfika+は、もっともっとステキな一冊に仕上げて、胸を張ってもう一度、出会いたい、そう強く思った。
それは、今年のお正月。
fika+編集長のすずきが湘南T-SITEで手に入れたフリーペーパー『海の近く』からはじまった。
気になるフリーペーパーやパンフレットなど、琴線にふれたものに出会うと、
すずきは編集部こんどう、ぺこきちの分も一緒にもらってきてくれ、自分の「好き」を具体的な形として示してくれる。
今回もらってきてくれたフリーペーパーも同じ。
なので、もらった時は、ほぉほぉ、と何気なく受け取っただけだった。
と、その日の夜。
中を読んだこんどうが、掲載されていた可愛いすぎるこけしに一瞬にして心を撃ち抜かれ、
撃ち抜かれたことをこんどう自身が自覚する頃には、
すでに作家の野口さんに「会いたい」メールを送っていた。
瞬発力が持ち味のfika+編集部の中で、実は、こんどうの瞬間的な情熱のほとばしりには誰も追いつけない。
「このフリーペーパー可愛かったよ」と言って手渡された日から間をおかず、
私たち3人は一台の車に乗りあって、可愛すぎるこけしを作る野口さんが住む湘南に向かうべく、
あっという間に話がまとまった。
そして、普通なら次の場面は湘南になりそうなものだが、なかなかそうならない。
なぜならそれは、fika+編集部だから。
●指先美人になるのだ! の巻
湘南に向かう日の朝。
こんどうとぺこきちは、ネイルの予約を入れていた。
もちろん出発の待ち合わせ時間には間に合う計算だった。
その日、街は成人式と駅伝とで道が想像以上に込んでいて、まずは先発のこんどうのスタートが出遅れた。
ぺこきちが終わる時間は、約束の時間には到底間に合わない。
そのことをすずきにメールすると、驚きもせず、
当日、出張ネイルをしてもらっているまめきゅうにあらわれて、一言。
「私もお願いしていい?」
おーい。
いつもネイルをお願いしているsoi-memeさんは、そんな私たちを前にしても、
動じることなく、ニコニコしている。
ま、いつもこんな感じなので、驚きようもないのかもしれない……。
そして、ネイルとはぜんっぜん関係ないまめきゅうのじゅんチャン(営業中)を巻き込んで
ネイルのオフをお願いしたり、大人の恋バナがあったり、おやつをだしていただいたり。
なんやかんや、出発予定時間はとっくの昔に過ぎてしまっていたものの、
すでにだいぶ楽しい感じになっていた。
そう、fika+にとって、計画は計画でしかない。
ようやく一台の車に乗り合い、東名高速道路のインターチェンジに向かおうと車を走らせるか走らせないかのうち、朝ごはんを食べ損ねたすずきから、小腹が減ったと申請。
「ローソンのからあげ、大分かぼす胡椒味がすっごく美味しいの!」
ということで、道沿いのローソンに飛び込んだものの、残念、売り切れ。
代わりに大きなコロッケをおごってくれた。
もしかしたら、いや、きっとこれがfika+のギャラなんじゃないか、
と考えたぺこきちは、後部座席で寝ころびながら、コロッケをしみじみ味わっていた。
高速は渋滞もなく、あっという間に湘南に到着。



●TOP BANANAなのだ!の巻
まず最初に、アウトドアブランドのショップ「TOP BANANA」さんを目指す。
カーナビに住所を入力したものの、よくわからないお肉屋さんが出てきたりして、早くも迷子状態に。
お店に電話をして詳細を確認し、なんとかお店に到着した。
心配したスタッフの裕太さんが、冷たい風が吹く中、お店の外に出て待っていてくれた。
ありがたい!
「平日はお店を開けていないので、今日はたまたま、いてよかったです」
のどかな笑顔を見せて、はにかんでいる。
「いてよかったです」は、こちらこそです。
看板の出し方をもうちょっと考えたい、と裕太さんが言うように、
外からだと、一瞬、お店なのか事務所なのかわかりにくいが、店内はいろんなグッズが並び、
こんどうは端から気になって、あれこれ見ている。
石鹸など、いくつか手にとって購入の意思を伝えるが、
「久しぶりに店に来たので、レジのやり方が…」
と、心配な発言。ドキドキ…
しばらくの間、レジと格闘している裕太さん。
ときどき、ピーッとか聞こえてきたものの、聞こえないふりをして、三人それぞれ店内を物色していた。
やがて、
「セキュリティが強めでしたが、なんとかできました!」
むしろ、セキュリティ、大事です。
近所の美味しいお店を尋ねると、「とんかつの大関」と、教えてくれる。
はい、メモりました!
見送ってくれる裕太さんに手を振りながら、いよいよ、まさに、とうとう、野口さんとの待ち合わせ場所、okebaへ!
だが、その前に、ふたたびローソンへ。ちょっと休憩。
ローソン、本日2度目。
すずきは、念願の「からあげ 大分かぼす胡椒味」をゲットした。
ちょっと前に割と大きなコロッケを食べていたものの、満面の笑顔で「大分かぼす胡椒味」をふるまってくれるすずきの勢いに、それぞれご相伴にあずかる。
……、うん、たしかに美味しい。さわやかな酸味が後をひく。
は~い、もう、そろそろ出発です!









●okebaで出会えました!の巻
茅ヶ崎にあるokebaへは、ナビでスムーズに到着できた。
大通りから離れた場所にも関わらず、次々に車が停まり、人が行き交っている。
駐車場から古い倉庫のような建物と、鉄のアーチが見えるが、大々的な看板があるわけではない。
「MOKICHIって書いてあるけど、ここかな?」
アーチの先に進むと、大きな木を囲むように建物があり、
中心の木の下にテーブルとベンチが幾つも並んでいる。
右手には蔵とひとつづきの建物。蔵の中二階に麹や酒粕、日本酒などを売るスペースがあり、
一段下がったところがカフェのようだ。
つきあたりは、暖簾のかかった和食屋さんのようなたたずまい。
その左手には見上げるほどの煙突が曇り向かって伸びている。
年月を刻んできた静かで落ち着いた雰囲気と、現代的な感度のセンスが絶妙なバランスで成立している。
「ステキ!」
どうやら、もともと酒蔵だった場所を、飲食や雑貨などを扱う場所としてリノベーションされたらしい。
野口さんとの待ち合わせ場所は、敷地内にあるokebaというギャラリーショップ。
店内は二階まで吹き抜けで、倉庫だった場所のような雰囲気だ。
古いガラスの引き戸をガラリとあけた店内は、
さまざまなスタイルの器や雑貨が並ぶ広い1階スペースと、2階には絵本、古道具のスペースになっていた。
興味深く見てまわっているところへ、野口さん登場!
作家活動をしながら、普段はここで働いているそうで、伺った日はお休みだったにも関わらず、
私たちのために、わざわざ来てくださったのだ。
くるくる巻き毛ともこもこボアのコートに鳥のマフラー。
可愛すぎるこけしを作る野口さん自身が可愛すぎる!
会った瞬間に、fika+編集部の3人とも大好きになってしまった野口さん。
「でもね、私、こけし作家っていうわけじゃないんです。伝統のこけしのこととか知らないので、歴史的なこととか聞かれても答えられない(笑)」
カワ(・∀・)イイ!!
こけしも作るけど、イラストも書くし、頼まれて文字を書くこともあるそうで、ご自分でも何が専門かって言えない、と笑っている。
「何年か前に木工をやっている知り合いから、こけしとか作ってみればって言われて挑戦してみたんですけど、木で作るのはすっごく難しくて。じゃあ紙粘土で作ってみよう、となったんです。今も一緒にやっている相棒の湯川がタイと日本を行き来している関係で、向こうの民族衣装とか可愛いものをいっぱい仕入れてきて、それを何かに使えないかなって話していて、紙粘土で作ったこけしに着せてみたら可愛くて」。
なるほど~。たしかに、どのこけしもかわいいお洋服を着ています。
「こけしの頭にのせている鏡餅とかは手作りなんですけど、実はタイって、ミニチュアの小物がけっこう充実しているみたいで、向こうで見つけたちっちゃい皿とかビールジョッキとか、ポンポンとか、そういうのをのせたりもしています。」
自由!
野口さんのやわらかで大らかな雰囲気がそのまま、こけし製作につながっているようです。
「この場所は明治5年から続く湘南で唯一の蔵元の熊澤酒造さんで、蔵や建物をリノベーションして、カフェやパン屋、和食、イタリアンなどのお店もあるんです。ここはokebaというギャラリーショップなんですけど、もともとお酒の桶とかの倉庫だったみたいです。湘南で活動するいろいろな作家、アーティストたちの作品が展示されているんですよ」
野口さんがこけしを作るきっかけの一言を放った作家さんの作品も並んでいたし、野口さんが描いたイラストが可愛いTシャツも販売されていた。
「茅ヶ崎のSEEP STOREさんというセレクトショップに、こけしを置かせていただいていたのがきっかけで恵比寿のファーマーズ・テーブルさんで展示会をさせていただけたり。皆さんに見ていただけるきっかけが増えて、嬉しいです」
そして、2月1日からは箱根 NARAYA ⅭAFEで展示販売も予定されている。
こちらは、丹羽健一郎さんのつくる器に野口さんが柄を描いたものや、もちろん、こけしもやってくるそうです。
これはもう、実物を見て見なくちゃです。ぜひ。
*箱根 百一商店 2月1日~2月26日 会場/NARAYA ⅭAFE(水曜定休)



●湘南T-SITEは広かったの巻
野口さんやokebaの皆さんに見送られて出発した時点で、外は夜。
シメは、湘南T-SITEなのだ。
以前から湘南T-SITEが大好きだったすずきが、お正月、fika+の製作用にとiPad Proを買いにきて、
気になった本に出会い、とにかく行こう!と、こんどう&ぺこきちを引っ張るようにして向かった。
「ここを曲がって、こっち駐車場ね、で、こっちが3つめの建物で……」
詳しいし、熱量がすごい。
湘南の気持ちいい海風を浴びながら、いざ、店内へ。
あ、好き。
うん、うん、わかる。
私も、ここ、好き。
入った瞬間、言葉にならないけど「好き」を共有できた気がしたぺこきちである。
まず、本がすごい。当たり前だけど、いっぱいある。
本屋さんだから、いっぱいあるのは当然かもしれないけど、面白そうな本がいっぱいある感じがする。野生の勘。
そして、見やすい。整然とされすぎていなくて、ちょうどいい感じ。
押しつけがましくないオシャレ感も居心地いい。
なにしろ、スタバとくっついているので、ふんわりコーヒーの香りに包まれているのも好き。
可愛くておしゃれな文具も嬉しい。
すずきは、さっそく好きなインクと出会ったようで、試し書きをしている。
「ねーねー、ぺこちゃんは試し書きの時になんて書くの?」
でた、唐突でオリジナルな剛速球の質問。
のけぞりつつ、ミミズみたいにクネクネって書くかな、と答えると、
「私は、490って書くの」
う、受け取るのが難しい答え。
深い意味があるなら、あまり触らないほうがいいのか。
いや、むしろ積極的に聞いたほうがいいのか、一瞬、戸惑う。
「理由はわかんないけど、いつも490って書くんだ」
わからないんかい。
つづいて、別館にあるミナ・ペルホネンのお店をうろつく。
すずきが最近、はじまりの森のイメージイラストとして描いているクマ(もしくは猫あるいは犬)に、
どことなく似ているぬいぐるみを発見。
館内は、本以外にも雑貨や洋服など、いろいろなお店が、つかず離れずの距離感で同居しているので、
本を探しながらスマホケースを物色したり、かわいいアクセサリーを見つけたり、ノートを買ったり。
自由に回遊できるので、一日中いても、物足りないくらいかもしれない。
最後に、すずきイチオシのデザインの本を編集部で購入。
日付がかわるちょっと前に、なんとか無事、帰宅した。
たくさんのステキな人たちと出会った濃い一日だった。
本当に、信じられないくらい皆さん親切で、ステキで、お会いできたことが嬉しくて、ありがたかった。
こんな言葉じゃ全然足りない。
そして、出会えたことが大きなギフトならば、これはもう、つぎのfika+は、もっともっとステキな一冊に仕上げて、胸を張ってもう一度、出会いたい、そう強く思った。
スポンサーサイト